2019年05月26日

テスコ・ゴールドフォイル・ギターは欠陥商品の可能性がある

テスコのゴールドフォイル・ピックアップはネジで封印されているのではなくて、リベットで固定されている。なので極性ないし位相を変えることはできない。
WG-2Lのピックアップの極性を磁石で確かめたのが次の二つの写真だ。黄色いラベルを張ってある面がS曲となっている。
IMG_8430.JPG

そしてピックアップのマグネット部分に置くと共に裏を向く。つまりN極だということが確かめられた。
IMG_8431.JPG

WG-2Lの回路は開けて見ていないのでわからないが、直列なんだと思う。この場合、二つをオンにすると多少トーンが広くなるかもしれないが音量が大きくなる効果の方が大きい。あえて確かめないけど。

つまりテスコはゴールドフォイルを単にたくさん並べるという製品を作るため、同じ極性のものを大量に作ってしまった公算が高い。それゆえ、60年代後半のエレキブームで爆発的にエレキが売れたとき、ゴールドフォイルを使うのをやめた可能性が同じく高い。モズライトのギターは触ったこともないけれど、おそらく極性は定番通り逆にしてあっただろう。もしモズライトみたいなギターを売りたいなら、ゴールドフォイルは使えないんである。よって60年代後半のエレキブームでゴールドフォイルは、その理由で生産されなくなったと考えるのが妥当だろう。ぼくはトーンがベンチャーズやビートルズと合わないから、人気が落ちたんだと勝手に思い込んでいた。WG-2Lでも同じボディにゴールドフォイルでないPUのものをテスコは出している。なんで?と思っていたが、そもそもゴールドフォイルは理論的に誤って設計生産された商品だったのだというのが今の結論である。
テスコは、エレキブームの直後倒産して、カワイに身売りする。なんでブームなのに潰れる?
それはブームが一過性でテスコは実需を見誤り過剰在庫を抱えて資金繰りに行き詰ったからだ。
次のブログに1966年当時のことが大変詳しく書かれている。

テスコの生い立ちと崩壊
https://star.ap.teacup.com/firstman/91.html
https://star.ap.teacup.com/firstman/93.html
https://star.ap.teacup.com/firstman/94.html

まあそれだけではないだろう。いわゆるビザールギターは、ギターの合理性が欠落している場合が多く、現代では使い物にならないことが多い。おそらく写真だけを見てなんとなくストラトとかなんとなくジャガーとかなんとなくモズライトみたいな感じで制作していたんだと思う。エレキブームで起こったことは、バブルそのものである。実際の話、ベンチャーズブームの影響があまりに大きかったものの、ビートルズが起こした同年の革命「ラバーソウル」のリリースを即時に感じ取ることは不可能であったろうし、1966年のジミヘンのデビュー、1967年の「サージャントペパー」に至っては論外であったであろう。そのなんちゃってコピーでは対応できないテクノロジー革命に技術力とアイディアで対応する余地などなかった。
そのため1970年以降はフジゲンが主導するデッドコピーが完全に主流となり、今
でも変わっていない。しかしテスコは電子オルガンも手掛けており、カワイ、ヤマハ、コルグの先駆けとなったことだけは付け加えておくべきだろう。

ゴールドフォイルだが、それはDeArmond社のHarmonyというギターに搭載されたピックアップのコピーが元である。EP-8にそれが搭載されているし、僕は資料としてそのジャンクを持っている。それはホローボディでソリッドではない。

たぶん流通したソリッドモデルの初期の代表であるゴールドフォイルを4つ搭載したSS−4Lで知られる流線形が特徴のSSモデルの原型はなんとギターではなく、すでに50年代にスチールギターで採用されていたデザインに由来する。スチールギターとホローボディギターを掛け合わせたのがゴールドフォイルギターだといえる。だが、マルチピックアップの合理性についてテスコはたぶん無頓着で、なんとなく直列にすれば問題ないという結論に至ったのだろう。

そういうわけで、ライ・クーダーは、合理的な解決を見出して、ゴールドフォイルを使用可能なピックアップとして世間に知らしめたんだと思う。リベットを打ち直したか、SUPROのマグネットの極性を反対にするか。SUPROのピックアップはネジ止めだけで、両サイドの支柱がマグネットでそれをひっくり返せば極性は変えられる。

もちろん資料としてSUPROのスチールギター持っている。これは相当修理したが、演奏可能である。ピックアップも何度も分解して修理したから嘘偽り誤認はない。

ゴールドフォイルが現在われわれが使えるピックアップといて認知しているのは、ライ・クーダーとそのスタッフの音作りの感性と機械としての合理性を追求した結果だと思う。日本人は相変わらず人気モデルのデッド・コピーしか作れない。日本製のスマホを日本人が使わないのと似ている気がする。

日本の自動車メーカーがアメ車のコピーモデルを作らなかったのが、日本の唯一の救いかと思われる。

なおLollar社がゴールドフォイルやSUPROのレプリカを売っているが、たぶんゴールドフォイルのその致命的欠陥は修正していると思う。
posted by Mondayota at 17:40| ギター