2017年05月04日

『JACO』

絶版になっている伝記『ジャコ・パストリアスの肖像』で、詳しい話はだいぶ知っていた。若い頃や、共演したミュージシャンの証言は貴重だった。

日本のジャズ雑誌がジャコ・パストリアスの晩年の奇行を派手に伝えたため、ジャコ・パストリアスの遺族は、それによい感情を持っておらず、冒頭のなんちゃらアンダーザスカイのシーン以外、日本の映像は使われていない。ジャコ・パストリアスの来日時の奇行については、ドラマーのピーター・アースキンが、丸刈りにして、エスニックな衣装に身を包むという来日時の風貌で、すでにバンドメンバーには「おかしい」とわかっていたと証言するのみである。日本人との写真が数枚挿入されるだけだ。

また『肖像』では、躁鬱病の「疑い」とされていたが、映画でジャコ・パストリアスが入院した精神科の医師が、ラピッド・サイクルの双極性気分障害だったと明言している。

ジャコがニューヨークでギター抱えてストリートミュージシャンをやっている映像は衝撃だ。伝記にも書かれていたことだが。

「サンタナのステージに登ろうとした」と伝記では書かれていたと記憶していたが、付録の未収録映像で、サンタナ自身が詳しく語っている。それはサンタナのフロリダのコンサートだった。曖昧だった。ステージに登ってベーシストからベースを奪って弾こうとするところまで行ったそうだ。サンタナが、ステージを中止して、ジャコにそういうことはよくないと諭し、警備員にジャコを手荒に扱わないように注意してステージから下ろしたそうだ。ジャコはその直後フロリダのバーの警備員に撲殺される。サンタナは、フロリダの海岸に行き、水につかって、ミュージシャンとしてのジャコの記憶以外を洗い流したそうだ。泣ける。

遺族、レコード会社、その他関係者の微妙な問題が表に出ないように省略は多い。だからドラマチックではない。ジャコの思い出を浄化しようというようなやさしい映画だ。

遺族が成人して登場したのが救われる。かなりの資料はジャコの弟が保存していたらしい。

タワレコ発売になったのは権利関係が複雑だからかもしれない。



posted by Mondayota at 19:28| Music Story