2016年03月07日

いまさら、脳トレ

川島隆太の「脳トレ」は間違いである。

川島隆太批判の本は何冊か読んだ。まあそのたび忘れちゃうんだけど。『脳科学の壁』バージョンの批判をからまとめる。
ただし『脳科学の壁』の榊田洋一は脳トレも、川島隆太を名指ししていない。

1.脳トレを、アルツハイマー患者に施すならば、イメージングで前頭葉の血流の増加がみられる
2.脳トレを、アルツハイマー患者に施すならば、前頭葉機能の向上が見られた
3.脳トレをしてアルツハイマー患者の前頭葉の血流が増加するならば、前頭葉機能が向上する

1と2から3を導けない。せいぜい相関関係があることを示唆するだけである。

血流から機能への因果関係は不定である。これは他のトンデモ脳科学でも繰り返される間違いである。また血流の映像は、相対的増加で、映像に移らない場所に血流が「ない」と言うわけではない。またすべての活動には多くの複雑な機能が一度に素早く連絡して機能しなくてはならないので、前頭葉の血流が増えたとかは、何かの手掛かりにはなるが、ある活動に一対一に対応するものではないのは確実である。

多くの批判の共通点は、川島隆太が、実験をコントロールしていないことである。
確かに、脳トレをすると血流が増え、機能の向上があるらしい。
比較研究で、今度は脳トレをしないグループと何もしないグループを一定期間研究する。たしかに二つのグループで差が出る。
ここで医学的良心のある人は気づく。
「アルツハイマー患者に何もしないで放置すること」に反対に意味があるのじゃないか?
そこで次に脳トレ活動グループ、非脳トレタイプ活動グループ、非活動グループ。
そして、活動グループと非活動グループに差は出るが、脳トレ活動と非脳トレ活動には差が出ないのである。
つまり有意味なのは活動に伴う介護スタッフとのコミュニケーションが、脳の血流を活性化していたのである。反対にもう一度医学的良心を呼び起こすと、放置しておけば病気が進行する患者を放置してきたという痴呆老人ケアの過去があったと言うことである。
このため、現在は、軽度の痴呆の場合、決して川島の脳トレなどさせず、体操や歌その他、「スタッフとのコミュニケーション」を伴う活動が広がっていると思われる。
そしてまだフジテレビのとくだね!が「脳活ジョニー」とかいう、血液型占いの代わりのコーナーをやっているが、では痴呆でない成人が脳トレをやって前頭前野が活性化するかというと「しない」。
このコーナーまで見ることはまずなかった。9時前に家事済ませて母を寝せてしまうからである。
当たり前だが、仮に脳の前頭前野の働きがよくなる=知的に頭がよくなるようにするには、脳トレで済むわけではない。仮に小学校で成績が悪い子供に勉強させずに脳トレだけをさせていたら、もちろん成績は悪くなる。『脳科学の壁』の著者は発達障害の専門家だが、児童において音読させても前頭葉の血流が増大することはないと結論している。

そして脳トレに熟練してしまえば、脳トレは単なる退屈なルーティーンになるだろう。
とくだね!は本当に退屈なルーティーン!なので、それにも気づかないというわけである。
posted by Kose at 15:20| 哲学社会科学エッセー