2016年09月11日

オースティン・スミス教授のアイロニーを理解する

なんだか、上田記者が訳文やらで責められていて修正中のようだ。何か詳しくはわからない。ぼくの担当じゃないし。しかし次の点については主張すべきは主張しておく。
*記事の修正は一両日中に行われるだろう。

オースティン・スミス教授の訳が間違っているという主張は逐語訳的にそうなのかもしれないが、彼の文章はアイロニーとして理解するよう訴えるものがあることを理解する必要がある。そのアイロニーを評価して理解する限りにおいて、上田記者の理解は正しく、逐語訳的理解が間違いであると主張することができるため、記事内容は修正には及ばないというのがぼくの立場だ。

A1)In this paper Dr Aizawa reports the outcome of attempts to reproduce the claim that exposure to low pH can convert splenocytes into pluripotent cells, so-called STAP cells, that are capable of colonising the mouse embryo.
A2)Although the two STAP papers have now been retracted acknowledging multiple errors and misconduct, the retraction notice does not state that the results are irreproducible but only says “we are unable to say without doubt whether the STAP-SC phenomenon is real”.
A3)This study is therefore a valuable service to the community.

B1)It is unfortunate that Ms Obokata cannot be contacted.
B2)It would be desirable if she confirmed her agreement with the fndinigs.
B3)However, I do not think there is any requirement for her to be a co-author because she carried out the work under the explicit direction and supervision of Dr Aizawa.

A1)この論文で、相澤博士は低Ph浴が脾臓細胞を、マウス胚のコロニー形成の能力である多能性細胞、いわゆるSTAP細胞に変換しうるという主張を再現する実験の結果を報告する。
A2)二つのSTAP論文は今では多くのエラーと不正を認めて撤回されているが、撤回通知は諸結果が再現不可能であると明言するのではなく、単に「我々はSTAP−SC現象が本物であるかどうか疑いなく言うことができない」と言うだけである。
A3)この研究はそのため科学コミュニティへの価値ある貢献である。
B1)小保方氏と連絡が取れないのは不幸なことである。
B2)彼女が今回の結論に同意したか確認を取れれば望ましかった。
B3)しかし私は彼女が共著者であるいかなる要件もあるとは思わない。なぜなら彼女は相澤博士の明示的な指示・監督の下でその仕事を行ったからである。

*下線部訂正(ただしBJ記事にはこの部分は使われてません。ご安心ください。)
 コメントとメールフォームでご教示いただきありがとうございます。

さて、A3はA1を参照している。しかしA1が価値ある貢献であるのはA2ゆえである(「それゆえ」)。
このため、「A2>A1」を評価しているため、小保方氏のネイチャー論文をより大きく評価しているということである。

誤訳として突っ込んでいる人たちがこれを理解しているか不明である。
記事のタイトルだと誤訳になるのかもしれないが、直観的な内容の理解としては「小保方研究が価値ある研究だ」と実際にスミス教授は主張しているとするのは正しい。

次いで、不自然な小保方氏への言及が行われるBの文である。
実際に言いたいのは「小保方氏と連絡が取れず、この結論に同意するか知りたい」である。
だが、相澤氏の完全な監督下にある限りにおいて、この論文について小保方氏は相澤氏に責任を付託しているか、していないのなら、この論文に責任はないという二重の意味をもっている。

さて、小保方氏は、理研の監視下に置かれて、相澤氏らとは独立に検証実験に参加したことは知られている。
よって、相澤氏の論文に小保方氏は責任を負っていない。
理研の措置に対するアイロニーをスミス教授は述べているのである。

スミス教授については前回そのプロフィールページをほぼ訳して紹介した。
主要な論文の中の4番目(1998年)の共著者をご覧いただきたい。
Nichols J, Zevnik B, Anastassiadis K, Niwa H, Klewe-Nebenius D, Chambers I, Scholer H, Smith AG (1998) Formation of pluripotent stem cells in the mammalian embryo depends on the POU transcription factor Oct4. Cell 95 (3), 379-391. PMID: 9814708.


つまりスミス教授は丹羽仁史(にわ ひとし)博士と旧知である。スミス教授は、実情を知ることができる立場にいてそのレビューを書いたと仮定することができる。

あとは適当に重箱の隅をつつくか、妄想を膨らませるかしていただきたい。

追加 2016月9月14日
スミス教授がアイロニーを暗示しているのでなかったとあなたが解釈するのであれば、あなたはスミス教授をバカ扱いしているのだということを理解する背景となる時系列の事実を掲載しておく。あなたはスミス教授が字義通りの言葉にしか話せないバカだとそれでも主張するつもりか???オックスフォード=ケンブリッジの最高峰の学者らがどれだけ諧謔にたけているか知らないのだろう。たとえば哲学者ウィトゲンシュタインと経済学者スラッファの逸話くらい知っておいたほうが身のためである。
2016年STAPクロニクル
(2015年10月20日 ヘブライ大学論文レシーブ)
 ・
1月28日 『あの日』発売
 ・
2月8日 ワシントン大論文 レシーブ
2月8日 ハイデルベルク大論文 レシーブ
 ・
3月8日 ハイデルベルク大論文 アクセプト
3月10日 ハイデルベルク大論文 オンライン公開
3月25日 小保方晴子 STAP HOPE PAGE公開
 ・
4月12日 瀬戸内寂聴 わくわく日より4 あの日 発売
 ・
5月18日 ES細胞窃盗告発事件 不起訴
5月20日 ワシントン大 アクセプト
5月24日 小保方晴子・瀬戸内寂聴対談発売
5月26日 STAP特許移譲
THE BRIGHAM AND WOMEN'S HOSPITAL, INC
.→ VCELL THERAPEUTICS, INC.
 ・
(6月4日 ヘブライ大学論文アクセプト)
(6月9日 韓国特許国際公開日)
6月13日 オースティン・スミス教授相澤論文レビュー公開
6月15日 ワシントン大論文 オンライン公開
 ・
(7月7日 ヘブライ大学論文公開)
7月18日 ワシントン大論文についてのツイートあり(消える)
8月16日 ワシントン大論文についてのツイート。「有志の会」投稿
(8月22日 イレーヌ・デ・ラザロ相澤論文レビュー)
 ・
(BPO勧告?)

posted by Kose at 17:12| STAP